ハマダ伝・PART2  
「ガンバ・ルンバ」


       帝京大学病院入院中のスナップ

 (2) 「ガンバ・ルンバ」 その2 言葉の持つ重み


さて、今回は、どなたかの参考になれば良しと考え、ちょっと詳しく私の病気の現状を書いてみることにしました。

2016年1月12日、国立がん研究センター東病院に肝胆膵内科の外来に今後の治療として新薬の臨床治験の相談に行って来ました。さすが、がん研だけあって付き添って来た人を除けば、当たり前ですががん患者ばかりと思うと笑っちゃいました。私の病状は、肝細胞がんで、多発肺移転の初期とのこと。が、現在は肝臓の病巣はきれいになくなっており、肝臓は極めて健康の状態であるようです。

帝京大学病院の主治医の先生の見立てでは、定期検診の血液検査の結果、血液マーカーが10月以降ゆっくり上昇しているので、今飲んでいる薬の効果が薄れて来ている可能性があるので、新たな薬に替えることも考えたいのだが、現在は、認可されているもので他にこれといった薬がないとのことでした。そこで、家人が素人考えですが、ネットで調べたところ、まだ日本では未認可のニボルマブという薬が夫の病状には効果的ということのようなのですがいかがなものかと質問をしたところ、それはいいかも知れないということに。

でも帝京でやっている臨床治験は私の病状には合わないので、新たな可能性を探るため国立のがん研に問い合わせて聞いてみることを薦めてくれました。ということで、家人が築地のがん研に問い合わせると、柏の東病院の方ではやっていたので、東病院に問い合わせてくれということに。そこで、東病院に連絡。と、ニボルマブの臨床治験はもう終了したとのこと。しかしながら、他の薬による臨床治験は、今後も色々とやるので、帝京大学病院の紹介状と、病気の経過報告を持って外来初診を受けてくれということになったのです。

そして、12日、診察を受けた結果、今のところ、現在飲んでいる薬はまだ効果はあると思うので、継続して今の薬を飲み続けるといい。その間に帝京の先生の方と連絡を取って、手術したがん細胞の一部をこちらに取り寄せてがん研の方でも検査をし、次の治療方法を考えてみますということになり、1か月後の外来予約を取り帰ってきたのであります。

現在の私の体調は、まずまず良好。薬の副作用で下痢は続いてはいるのですが、一時よりは大分楽になり、色々とやる気も起き、体重も減ってはおらず、食欲も旺盛で、少し位はお酒も口にしています。それにしても、がんの治療法は、「日進月歩」、「一寸先は、光」であります。


         
ところで、私はがんと宣告されてから更に強く感じるのは、言葉の持つ重みです。言霊(ことだま)という言葉がありますが、「意味や解説」を読んでみますと、古代日本で、言葉に宿っていると信じられていた不思議な力。発した言葉どおりの結果を現す力があるとされた。ことだまのさきわうくに【言霊の幸ふ国】言葉の霊力が幸福をもたらす国。日本のこと。などとありました。

私も曲がりなりにもコピーライターなどを稼業にしていましたから、言葉に対しては常日頃から気に掛けている方の人間です。そんな私が思うのは、いい言葉は、良薬であるということ。言葉は、心を慰め、心を励ましてくれるからです。だから、私は、自分の病気を迷わす公表しました。公表したことによる皆さまの反応は、私を労り励ましてくれます。みんながいろんな言葉を投げかけてくれるので、いろんな言葉で考えることができます。

「中野のライオン」の企画書のところでもご紹介した、同じマンションの4Fに住む「失楽園」などの脚本家で作家の筒井ともみさんからも、こんな内容のFAXをもらいました。

がんというのは、もともと自分の中にあるもの、自分自身なんですよね。だから、自分で決めなくてはならない。いくら一緒に受け止めてくれる家族がいても、でも、やっぱり自分が対峙することなんですよね。いつも悪口を言われている団塊の世代だけど、自分らしい対し方で、パキッと、そしてゆるゆると、がんをやっつけるというより手なずけて、人生をどんどん楽しんでください。濃密にね!

とても心に響く言葉でありました。そして、ことによったらがんには感謝しなければならないかも知れない。それは、がんになったことで、今までは考えてもみなかったことを考え、気にもしていなかったことに気がつき、筒井さんが言うように1日1日が濃密に過ぎていく感じがとても貴重な体験なのだからと…。とは言え、あまりあれこれ意識し過ぎると疲労困憊してしまうので、そこは、それ、適当に手抜きをしながらがんと向き合っています。

さて、さて、私は「掘り出し言葉」というファイルを持っています。その中から最近の私を励ましてくれる言葉をピックアップしてみました。

・「仕方ない」「ま、いいか」を口癖に。
・無理にポジティブにならない。
・執着しないと魔法が起きる。
・先入観より自分の確信。
・つねにユーモアを忘れずに。
・頭はできるだけ柔らかく。
・チャンスはピンチの顔をしてやってくる。
・一度だけの人生だ。だから今この時だけを考えろ。
・世の中には幸も不幸もない。
 ただ、考え方でどうにでもなるのだ。
・失意泰然。
・やることをやったら、くよくよ考えない。
・インテリの悲観論より、アホの楽観論。
・何も打つ手がないとき一つだけ打つ手がある。
 勇気を持つことである。
・アバウトは健康にいい。

どうやら、こんな言葉たちが、今の私にフィットするようであります。


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