ハマダ伝・PART2  
「ガンバ・ルンバ」



 (2) 「ガンバ・ルンバ」 新作落語台本



「はじめに」にも書きましたが、去年の3月肝臓がんが見つかり、手術をし、現在は、その転移を防ぐための投薬治療に明け暮れている毎日であります。そして去年、毎年出演している落語会で、「ガンバ・ルンバ」という新作落語を演りました。これは、私が第一稿を書いて、日芸の落語研究会でも、マッキャンでも先輩である坂田耕さんの協力を得て創った落語台本であります。たっぷりとお楽しみを。

で、その前に、「私詩・100詞」に載せた「キャンサー・ブルース」という詞です。

キャンサー・ブルース

   作詞:ハマダテツジ

身からでました錆びといえ
気づいた時には遅かった
いまさらガンは気仙沼
後悔しても はじまらぬ
酒にまみれて 過ぎた日々
あぁ 嘆きのキャンサー・
ブルースよ

このままそっとしておくか
それとも抗癌剤(くすり)に頼ろうか
思い悩んで思案橋
切って切れない こともない
迷いあぐねて 別れ道
あぁ 惑いのキャンサー・
ブルースよ

生きていこうと思うから
笑顔を浮かべて 明日を見て
いやな話は錦糸町
ガンとこれから どこまでも
きっと勝つまで 根競べ
あぁ 我慢のキャンサー・
ブルースよ

 第19回 かさま落語会 開口一番 原稿

エー、いっぱいのお運びでありがとうございます。 今回でこの「かさま落語会」も、第19回目ということで、 大変なもんでございます。 今回はチラシにも載せていただきましたが、どういう訳だか、 第1回目から、皆勤賞で、開口一番を務めさせていただいている、 上から読んで「喜楽家喜楽」下から読んでも「喜樂家樂喜」 ひたすら喜楽に生きたい、ただそれだけの「喜楽家喜楽」で ございます。

普通の落語会ですとね、「若い前座さんから始まりまして、 活きのいい 二つ目の噺家さんが登場して、トリは、真打」ということに なるんですが、この「かさま落語会」は違いまして、いきなり66才の 最年長、しかも素人の私が開口一番といことになっております。 これじゃ「かさま落語会」じゃなくて「さかさま落語会」ということになるんですが、これには少し訳がございまして、この「落語会」をプロデュース している高田先生とは、 同じ日大芸術学部の落語研究会、いわゆる 「落研というクラブ活動で一緒だった」それだけで毎回開口一番という ことになったんですね。

で、これから落語を一席ということなんですが、高田先生から 今回は君の『がん闘病』の話がいいんじゃないか、どうせ小噺なんかやったって受けるわけじゃなし、面白くないしネ、今回はさ、せっかく貴重な体験をしたんだから、だからさ君の「ガンの話!」ネ、「ガンの話」がイイな。君の小噺なんてそれほど聞きたくないけど、ガンの話ならみんな聞くヨ。怖いからね。それにほら「他人の不幸は、 蜜の味の素」って言うでしょ、「蜜の味の素」ね、今回はこれ、たっぷり君の「ガンの はなし」で貫きましょう。

そんなわけで、今日は高田先生から頂いたお題の「喜楽家喜楽のガン闘病記」 ということでお話をさせていただきます。

「ガン」、この音の響きからしていやですよね、「ガン」。英語では 「キャンサー」っていうんですネ。「キャンサー」、「キャンセル」じゃ ないんですよ。「キャンセル」なら、断ればいいだけですからネ。
で、この病気の元になるガン細胞は誰でも持ってるもんらしいんですね。 だれがなってもおかしくない。国民の4人に1人、いや最近では2人に 1人が罹っている国民病だなんて言われています。

2人に1人ですよ、2人に1人。ですから、この会場にいる半分の方は ガンの疑いがあるということになります。ということは、こんなところで 落語なんか聞いて笑ってる場合じゃありません。半分の方は一刻も 早く近くの病院で検査した方がいいてぇくらいなもんです。

ところで、世の中には、「もう健康のためなら死んでもいい」なんていう、 健康オタクの方がたくさんいらっしゃいますが、今までの私は、健康には、 どちらかといえば殆ど無頓着。しかも、無類の酒好きでありました。

それが、今年の3月です。有楽町の線路下で友だちと安酒を飲んで いましたら、急に胃痛を起こしました。 それもケッコー痛くて、その夜は眠れない位でした。 そこで、さっそく罹りつけのクリニックに行き、胃カメラを飲んだり、 エコーをやったり、血液検査をしたりしました。 その結果、胃は何でもなかったんですが、血液のγGTPが高かったんで、 CT検査を受けたところ、なんと肝臓ガンが発見されたのであります。それこそ「ガ〜ン!」でありました。

この肝臓という臓器は、「沈黙の臓器」という異名を持つ、やっかいな 臓器ございまして…沈黙の臓器。胃なんかですとね、話しかけると 「グー」なんて言ったりしてくれるんですが、肝臓に何か話しかけても 何にも云ってくれない。スティーブン・セガールの沈黙シリーズに、「沈黙の臓器」ってのがあってもいい位だと思うんですが…。

さぁ、こうなると、さっそく入院治療ということになります。
最初は、罹りつけのクリニックで紹介された某大学病院の消化器内科に検査入院しました。でも、担当の先生の態度や、治療法のことが、どうも、なんかシックリ来ませんでした。そこで、ひとつしかない自分の命を預けるんですから、私もよくよく考え、最近、皆さんもよく耳にしてると思いますが、セカンドオピニオン、これを受けることにしたんです。

そして、セカンドオピニオンに選んだのが、「医者に殺されない47の心得」などのベストセラーでよく知られる、ガン放置療法で有名な近藤誠先生のがん研究所でした。私もこの本を読んでいて、大いに共感していたので、近藤先生のところに勇んで話を聞きに行きました。

私のガンは8pほどもある、ケッコー大きなガンでした。「そのまま放置するのが一番」とか、言われるのかと思っていたら、CTの写真を見て、「切れるものなら、切るのがいいだろう」という意見。東大病院の外科に紹介状を書いてくれました。

で、そんな、こんなが、ありまして、結論としましては…
膵臓ガンを克服した仲のよい先輩のお薦めで、帝京医大の専門チームにお世話になることにいたしました。4月に入院をして、8時間の外科手術を経て、無事、退院 親しい仲間たちに、6月末に快気祝いをしてもらいました。が、なんと、その1と月後の定期検診で、半分残った肝臓に、又、新たなガンが見つかったんであります。「ガン!ガ〜ン!」でありました。でも、ここでもショックを押さえ、又、考えました。できちゃったものは仕方がない。明るくガンバルしかないと。

そして、今度は、抗がん剤を入れた後、肝臓への動脈を塞いでがんを兵糧攻めにするという、入院治療を受けました。どうやら、これが効果を表しているようで、今、こうして元気に、おしゃべりすることが出来ています。

さて、こうなると、ありがたいことに、色々な方から、ガンにいいという情報や、ガンに効くというものを、色々いただくことになりました。

まず、マタギに知り合いがいるという友だちからは、熊のレバーを届けてもらいました。ひと口大の切り身を、アルミホイールに入れて、フライパンでソテーして食べました。ケッコー旨かったですね。焼いた時に出る肉汁が、特に効くということでした。

そして、この「かさま落語会」の世話人の1人、稲田さんからも、自家製の黒にんにくをいただきました。なんでも電気釜を保温のままにして2週間置くと出来るのだそうで、熟成させる間、そうとう臭(くさ)いということでした。

後、レモンの搾り汁が、放射線療法より、1万倍も強い働きがあると聞いて、毎日レモンを搾って飲んでます。

他に、レモン、バナナ、ブロッコリー、ヨーグルトなどをベースに、ミキサーでつくるスムージーも毎朝飲んでます。

霊芝茶、これもいただいたので、ありがたく飲んでます。
それから先日、街を歩いていたら看板で健康に「うんこ」が効く、みたいなことが書いてありましてね…。一昔前に自分の小水を飲む健康法というのがあったんですが、ついに「うんこ」ときたかと思って、よく見たら「うこん」だったんです。
すんでのところでウンコを食べちゃうところでしたが、食べずに済みました。そんなわけで、春うこんも、いいということで、これも食後に欠かさず飲んでます。

とにかく体にいいというものは何でもやってみようと思ってましてネ。
もちろん、「ふくらはぎ」はもんでますし、一昔前の「紅茶きのこ」も復活させようと思ったり、「フラフープ」に「ホッビング」に、「だっこちやん」なんかも、手に入れようと思ってたんですが、「確かにそれらは一時流行っただけでガンとは関係ない」ということでやめましたけれど…。

と、言ったところで、ここで、いきなりですが、入院中、自分を鼓舞するために、こんな歌を考えましたので、聞いてください。

「ガンバ・ルンバ」といいいます。
メロディーはへたくそなんですが、こんな感じです。

♪〜ガンバ・ルンバ ガンバ・ルンバ
ガンに負けるな ガンバ・ルンバ
そうさ明るく ガンバ・ルンバ

「もう少しで終わりますから、、もう少しの辛抱です、私だってガンと戦ってきたんです、皆さんもこのぐらいの苦痛には
耐えて聞いてほしいとおもいます」

肝臓がんなど なんのその
レバー・ギブアップ!
Oh! NO! ネバー・ギブアップ

ガンバ・ルンバ ガンバ・ルンバ
ガンに負けるな ガンバ・ルンバ

Woo!

なんていう歌なんですがね。
これ、ケッコー、私の応援歌になっています。

そう、そう、それから、全身ガンを告白して、飄々と生きている樹木希林さんが、こんなことを言っていました。「ガンはありがたい病気よ。まわりの人が自分と真剣に向き合ってくれるから」などと、とてもいいことを言っていました。
これは、私も、大いに実感するところであります。一病息災、これからも、ガンと上手に付き合っていこうと思っています。

そして、最後になりますが、皆さんが、万一、ガンになるようなことがありましたら、ぜひ、これを、実行してください。

1つ、病は気から、決してクヨクヨ落ち込まないでください。
   ガンに付け込まれますから。

2つ、医者に言われた通りにしないで、自分で考えて、
   必要とあれば必ずセカンドオピニオンを受けてください。

と言ったところで、ガンの話しはここまでです。

さぁ、これからが、いよいよ本番です!
「笑う門には、ナチュラルキラー」
大いに笑っていただければと思っております。
エー、お後がよろしいようで。

この開口一番、お陰さまで、大いに受けました。「ガンバ・ルンバ」を歌った時には、手拍子までいただき、とてもいい気持ちでした。それでは、最後に、「ガンバ・ルンバ」の詞をフルでご覧ください。

ガンバ・ルンバ

   作詞:ハマダテツジ

ガンバ・ルンバ ガンバ・ルンバ
ガンに負けるな ガンバ・ルンバ
そうさ明るく ガンバ・ルンバ

胃ガンに 乳ガン 大腸ガン
肺に 膵臓 肝臓ガン

ガンは今では 国民病
ニッポン人の 4人にひとり
2人にひとりと いう説も
それにつけても 怨めしい
なってしまった 肝臓がん
腹を括って 勝っきゃない!

レバー!レバー!
レバー・ギブアップ!
Oh! No!ネバー・ギブアップ!

ガンは今では 怖くない
分かっちゃいるが 心じゃ不安
医学を信じちゃ いるけれど
ガンはやっぱり デビル的
なってしまった がんだけど
ここで逆転 勝っきゃない!

レバー!レバー!
レバー・カンバック!
Oh!Yes!レバー・カンバック・トウ・ミー!

ガンバ・ルンバ ガンバ・ルンバ
ガンに負けるな ガンバ・ルンバ
そうさ明るく ガンバ・ルンバ
Woo!


ガンバ・ルンバ2へ
ずい筆 TOPへ
ETCに戻る