Lucky Story
[ラッキー物語]

やっぱり、ラッキーは人間だった。

残っている歯は、キバ1本。このキバが最後の1本になっても、相変わらずの食欲。満16歳で迎えた21世紀。老ビーグル犬ラッキーは、果たして何歳まで生きられるのでしょうか。この新世紀にも わが家の家族の1員として、愛嬌を振りまいていられるのでしょうか。それは、どちらも、神のみぞ知るところ。が、しかし、ラッキー・パパとしては、彼の長寿を願って、どうしても、この物語を創らずにはいられなかったのであります。

こんな風に、はじまったこの物語の主人公、みんなに可愛がられた、ラッキーは遂に還らぬ犬となってしまいました。2001年、12月22日午後2時、3日間続けた点滴もむなしく、満17歳の生涯を閉じたのです。

17歳といえば、ドッグイヤーでは、百歳と少し!?(異なる見解も ありますが…)いわば大往生でありました。 ギャラリー工の看板犬として、わが家の家族の1員として、愛嬌たっぷりに、わがままに天寿を全うした17年。本当にありがとうと思っています。

ラッキー・パパとしては、彼の存在は、永遠であります。この物語はそんな人間ドッグ、ラッキーとの17年の幸せで、楽しかった、私の中の美しい記憶です。



Country Life

ラッキーの田舎暮ら
その名もランカスター・シャーマン・ラッキー


LUCKY。好運。命名したのは、小学4年生の頃の娘。一人暮らしの老いた私の父との同居を決めて、集合住宅住まいの東京から一戸建の小田原の実家に移り住むことに決めた年の娘の誕生日のプレゼントとしてわが家にやって来たビーグル犬です。

その血統書には、ランカスター・シャーマン・ラッキーなどという、いかにもそれらしい名前が記されている。この犬が、わが家に 来たことで、 家族の生活は、ガラッと一変してしまいました。

なにしろ留守番ということができない犬なので(そういう躾けを怠って、 ひたすら溺愛)、例えば、家族で旅行をするにも、殆どラッキー同伴の計画を立てなければなりませんでした。

もちろん家族揃っての外食などという習慣も、極端に少なくなってしまいました。でも、それに余りあるほど良いことが多く、結局、どこかで
ラッキー様々なのかも知れないと、私たちは思っていたのです。そんなこともあって、さっそく、私は、ラッキーの歌を作詞していました。 作詞は、私の愉しみだったのです。


仔犬のラッキー

Lucky  Lucky
Pretty little Lucky

スヌーピーも 顔負けの
やんちゃで わがまま 甘えん坊
今朝も お散歩 ねだるかな
Lucky  Lucky
Pretty little
Lucky
みんなとワンワン 話すかな


Lucky Lucky
Pretty little L
ucky

スヌーピーも あきれてる
誰にも 負けない 食いしん坊
お手が じょうずに できるかな
Lucky  Lucky
Pretty little Lucky
クンクン甘えりゃ おやつかな
 


Lucky  Lucky
Pretty little Lucky

スヌーピーに そっくりで
とっても せっかち あわてん坊
今日も 元気に 遊ぶかな
Lucky  Lucky
Pretty little Lucky
みんなに幸せ くれるかな

Lucky  Lucky
Pretty little Lucky
みんなに幸せ くれるかな

さて、先にお話をすすめましょう。そのラッキーの大きな功績のひとつに、みかん山を持っているお百姓さんから、菜園を借りるひと助けを してくれたことがあります。

なぜなら、それは、畑の持ち主のおじさんに家人を紹介してくれたのが、散歩の途中でラッキーの友だちになった、サムという同じビーグル犬の飼い主の奥さんだったからです。

そして、都会育ちの家人が、農作業にどっぷりと漬かるようになったのは、それからまもなくのことでした。ラッキーの散歩と畑仕事。いつしかこれは小田原暮しのわが家の必須アイテムになっていったのです。

こうして私たちは、この菜園で野菜を作ったり、ハーブを育てたりの約7年間に渡る「緑の時代」を迎えたのでした。そんな時、もうひとつ、ラッキーの歌ができました。


遠吠えして歌うラッキー

ワンダフル・ラッキー

ラッキー ワンワン
ワンダフル

ランカスターの 血統で
小田原生まれの 城山育ち
だから蜜柑が 大好きで
そのクセ海が 大嫌い
波を敵(かたき)と 吠えまくる
ラッキー ワンワン
ワンダフル
みんなに好かれて
ワンダフル
いたずら好きの ビーグルさ

ラッキー  ワンワン 
ワンダフル
ちょっと頑固な 血統で
小田原生まれの 城山育ち
かまぼこの板 大好きで
大きな骨が 大嫌い
庭に埋めたら そのまんま
ラッキー  ワンワン 
ワンダフル
みんなに好かれて
ワンダフル
お手もくれない ビーグルさ


ラッキー  ワンワン 
ワンダフル
とても明るい 血統で
小田原生まれの 城山育ち
箱根ドライブ 大好きで
お風呂はなぜか 大嫌い
シャボンの中で 大騒ぎ
ラッキー  ワンワン 
ワンダフル
みんなに好かれて
ワンダフル
留守番しない ビーグルさ


あの頃、私はラッキーをはじめ、私たちの身近に咲く花や、樹木、野菜たち、そんなものを夢中でスナップしていました。そして思ったことは、とにかく自然というものは本当に素敵だということでした。

又、季節というものは、付き合えば付き合うほど絶妙だなぁという実感でした。例えば、春のある日曜日のこと、ピーッ、ピーヨと笛のような声でヒヨドリが鳴くと、木蓮の梢から、バサバサと羽音をたててその鳴き声が空高く舞い上がっていきました。

すると、今度は安心したように雀たちが、リビングルームの窓の外に設けた餌台で、パン屑を啄ばみはじめるのです。他にもここには、メジロや鶯がやってきます。

ラッキーが、私と同じようにリビングの陽だまりで大きく伸びなどしています。開け放した窓から吹き込む風は、すっかり春の風なのです。それは、それは、素晴らしい時間でした

   よく喋ったインコのピーちゃん
           喋れなかったインコの雪ちゃん
Next